神保町裏通り日記 
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2月27日(土)
天気(雨)

 

 なんだかいきなり春の陽気の今週でした。セーター着て市場で仕事していると暑いのなんのって(^^;。

 今週の新着目録です。貸本マンガオンリーです。若木書房が21冊です。本当はもう7冊ほど若木書房の貸本マンガがあるのだけれど、ちょっと時間に間に合いませんでした。ということで残りはまた来週です。

 まずは定番どころから。

 

 左は赤松セツ子「みならい天使 1巻」。初期の少女フレンド連載作品をまとめた物です。全3巻中の1巻のみです。右は大岡まち子「フランチェスカの長い道」。こちらも1967年頃の少女フレンドに連載された物です。3回掲載だったので中編くらいの長さです。

 

 左は同じく大岡まち子「王女さまはゆくえ不明」。こちらは書き下ろしです。右は、やはりフレンド主体で執筆していた石井やよひ「プシィに会ったら」。ちょっとW3みたいなSF作品です。

 

 こちらも同じフレンド系を主体とする講談社で活躍した杉本啓子。左はひまわりブック391「風の少年」。右はひまわりブック303「すみれを胸に」。

 

 こちらは、ひもと太郎、ひまわりブック295「華麗なる姉妹」です。ひまわりブックの後期としては珍しいひもと太郎です。ひまわりブックとしては6年ほどのブランクがあります。なぜ6年もブランクがあったのかは、この本の中書きに書いてあります。「表題作の「華麗なる姉妹」は40ページほどの短い作品です。併載の「木陰にさいた小さな花」は、これより10年ほど前に執筆して未掲載だった作品です。98ページほどなので、B6単行本の時代の作品のようです。並べてみますと絵柄の違いがハッキリと分かります。個人的には10年前の方が上手いような気がするのですが、どうなんでしょうか(^^;。

 今週の気になるマンガを今回は、2作品紹介したいと思います。

 

 まずは真白不二「リンゴの頬と緑の目」です。真白不二という取って付けたようなペンネームは、いかにも別名義くさいです。絵柄もポッとでの新人の絵柄ではありません。どこかで見たような絵柄だなあと思ったら…

 表紙や扉絵の片隅にサインがありました。「中HIMA.T」と読めます。”中”という文字の中心が”S”の文字になっています。つまり「中SHIMA.T」→「NAKASHIMA.T」です。絵柄から判断してもまず間違いなく中島利行です。1967年頃の刊行ですが、なぜ別名義にしたのかはちょっと不明です。

 もう一つは「夢 85集」です。

 

 収録は平岡妙子「きみちゃん」、奥村真理子「ぼたん雪」、生山千鶴「花つぼみ」の3作品。気になったのは最後の生山千鶴「花つぼみ」です。この生山千鶴に関しては、いろいろ調べてもこの1作品しかデータがありません。しかし妙に上手いです。

 

 扉の絵ではちょっと分かりにくいのですが、上野2枚の画像あたりの描写は妙に引っかかる物があります。見た瞬間の感想は、なんだかセブンティーンっぽいでした。この意見は全然確証無しの単なる憶測でしかありませんが、ひょっとして”津雲むつみ”ではないでしょうか。

 津雲むつみのデビューは、集英社のサイトによると1967年の週刊少女フレンド(号数不明)の「幸子の星」だそうです。出身は石川県。残念ながら掲載号を一度も扱ったことがないので、津雲むつみの初期絵柄は確認できませんでした。ただ「ゆめ85集」は、1967年3月頃の発売ですので執筆時期としては適合します。

 

 また同時に掲載していた奥村真理子は、石川県の出身でしかもデビューは1966年末頃(一部サイトに、デビューは1965年の別冊マーガレット掲載「おかえりはあちら」とあるが間違いで、デビューは週刊マーガレット臨時増刊号で1966年12月頃発売の号に掲載の奥村まり子名義「お帰りはあちら」)である。年齢的には奥村真理子の方が3歳ほど年上だが、同郷でデビューも近いならば、どこかで接点があったかも知れない。そんなわけで同じ貸本に掲載されたのではないか? もちろんこれも憶測に過ぎません。この件に関しては、今後もいろいろ調べてみます。

 これに関してはいろいろとご意見やご批判あるかも知れません。何か情報お持ちの方は是非ご連絡下さい。

 来週は引き続き貸本マンガです。

 

 

2月20日(土)
天気(晴)

 

 先週よりもちょっと寒さはましですか。それともカラダが慣れたのでしょうか。

 今週の新着目録です。先週に引き続きみつはしちかこです。

 まずは今まで出そうでナカナカ出なかった、みつはしちかこの代表作「小さな恋のものがたり」1〜最新刊の41巻セットです。

 

 今更解説するのは不要なほどの有名作品。『美しい十代』1962年6月号に初掲載以来40数年に渡って愛されているロングセラーのマンガです。

 今回のセットのうち8巻には著者サインが入っております。

 単行本は、一年に一度5月頃に刊行されるというペースを続けておりましたが、41集以降は作者体調不良のため刊行が止まっております。雑誌掲載は直近に関しては芳文社「まんがタイムファミリー」で連載を続けておりましたが2008年4月号以降は休載しております。単行本には初出が書かれていないのですが、一応掲載が判明している分だけでもちょっと書いておきます。

 『美しい十代』1962年6月号〜1968年10月号
 『女学生コース』1968年11月号〜1970年3月号
 『女学生ロマン』1970年4月号〜1972年2月号
 『サムデイ』1971年11月号〜1972年2月号
 『高2コース』1972年4月号〜1973年3月号
 『高1コース』1973年4月号〜不明
 『フェアレディ』1972年5月号〜不明
 『まんがタイムファミリー』不明〜2008年4月号(以降休載中)

 他にみつはしちかこは、朝日新聞日曜版掲載していた「ハーイあっこです」は端本が2冊。

 

 あまり古い単行本ではないですが、全11巻揃いは珍しい河あきら「ご町内のミナさん」。残念ながら6巻だけマンガ喫茶に使われていたようで本体にホッチキス止めがあります。その他の巻はワリカシ状態良いです。

 アース出版局版「チャコちゃんの日記」全3巻です。この版は『少女』掲載作品は入っておらず、『りぼん』掲載の「チャコちゃんの日記」でまとまっております。全初版ですが、帯は1巻と3巻のみ付属です。

 

 こちらも少し珍しいレディスコミック時代の笈川かおる作品「ソルジャーオブレイン」、「夏だったね」、「ばってんBOX」です。「ばってんBOX」は1巻の通巻表記がありますが、1巻以降は刊行されずじまいです。

 

 こちらもユーコミックス。粕谷紀子2作品。不倫がテーマの「夫婦が指輪をはずすとき」、お受験がテーマの「必勝ファミリー」。

 

 こちらはちょっとマイナー下村富美2作品。短編集の「首」と長編の「仏師」。絵柄が少女マンガとは思えないほど濃くて随分と印象に残っています。

 最後は1点ずつですが、雑誌と付録です。

 

 雑誌『平凡』の別冊『平凡スタア・グラフ 1955年6月臨時増刊 松島トモ子特集号』です。松島トモ子10歳の頃の雑誌となります。

 

 こちらは前掲の『平凡スタア・グラフ』の付録「トモ子ちゃんのブロマイドケース」です。雑誌の方にはブロマイド10枚入りとなっておりますが、なぜか11枚入っておりました。どれが余計な1枚かは不明でした(^^;。

 来週は、今週やれなかった貸本マンガの予定です。また予定がハズレなければですが(^^;。

 

 

 

2月13日(土)
天気(雨)

 

 まー、どーしましょってくらい寒い今日この頃です。エアコン付けても身体が全然温まらないので足元にヒータ置いて仕事しております。春が待ち遠しいっす。

 今週月曜日の中央市でB6サイズのレディスを中心としたマンガ単行本を90本落札しました。1本辺りの縛りが大体28冊位なので全部で約2500冊あります。これだけ大量にあると店に持ってくるわけにもいかないので、火曜、水曜と二日にかけて市場で整理をしました。整理つっても用は要らない物の廃棄です。市場の広いテーブルの上にこの2500冊をならべ、揃い物や単巻で店で売れそうな物を抜いていきます。それで抜いた物が20本、約500冊。残りの2000冊は、廃棄処分です。実にもったいない話ですが、これだけの量になると逆にどうすることも出来ません。廃棄代もこれだけの量になると4千円くらいかかります。2500冊を落札して、二日間の手間をかけ2000冊を廃棄する。実に実に因果な商売です。

 今週の新着目録です。旭丘光志の貸本マンガとみつはしちかこ、加納あずまとかそんな辺り。

 

 まずはみつはしちかこで文庫版。左は講談社文庫「初恋のりりあん」。カバー装丁の弱いシリーズですがこれは綺麗です。初出は「週刊女性自身」昭和48年〜50年。
  右は秋元文庫ファニーシリーズ「わたしはみどり」。秋元文庫の奥付広告見ると”日本で最初・コミックの文庫版”とあります。確かに1974年発行だと日本初のコミック文庫かも知れません。

 

 こちらはB6版。左が秋元書房「片思いから出発!!」。右が成瀬書房「YOUのコイビト」。成瀬書房といえば古書マニアには有名な豪華愛蔵版の文学書を出す出版社です。どれだけ豪華というと基本的に数万円から数十万という価格帯です。成瀬書房もマンガの出版までやっていたんですねぇ。

 こちらは立風書房「じゃがいもの花が咲いたよ」。マンガではなく自伝的エッセイです。

 こちらは加納あずま。上が初単行本のヤングユーコミックス「友だちの友だち」。緩い繋がりの連作短編集です。下は3姉妹の共同生活を描いた「カラスの休日」全2巻。
 加納あずまは、りぼん1980年2月大増刊号「おばけちゃん」でデビューします。その後、りぼん大増刊やりぼんオリジナルで短めのほのぼのコメディを描きますが、どちらかというとあまり個性がない作風でした。90年頃にヤングユーに移ってから随分とおしゃれな感じに作風が変わります。料理を作るのが好きなようで、単行本の合間のコラムも料理のレシピが大半だったりします。しかもなんだか美味しそうです(^_^)。

  

 創美社の水野英子「エーデルワイス」とホーム社のわたなべまさこ名作集もちょっと入荷。

 こちらもちょっと珍しい、講談社ワイドKCモーニング、くまの歩「のらくろファミリー」。主人公は、のらくろ(のらいぬ黒吉)の息子で、のらいぬ黒太郎。

 

 こちらは再入荷。阿保美代「そよかぜの木」と上田としこ「お初ちゃん」。

 貸本マンガの方は旭丘光志一色です。

 あしたはコミティアにちょっと出かけます。それから戻って市場では中央市大市会です。忙しいなぁ(^^;

 来週の目録はまたもや未定です。

 

 

2月6日(土)
天気(晴)

 

 天気は晴れていて陽射しは暖かいのだけれど、北風が強くて寒い! 風の音が強いので気になって下に降りたら看板が風で飛んでいた(^^;。そのうち看板もダメになりそう。

 今週の新着目録です。街頭(肉筆)紙芝居が18話分です。今週は普通のマンガはありません。

 街頭紙芝居という言い方が良いのか、肉筆紙芝居という言い方が良いのか、いまだにイマイチ統一できておりません。これがどうゆう物かご存じの方は世代的な物もあるので、限られてはいると思います。詳細については以前特集したものがありますので、そちらをご覧になるのがよいかと思います。

 今回は取りあえず3種類で全18話分です。

 まずはオール画劇Co,「黒猫人間」です。作画は鈴木信勝。クスリによって黒猫の怪物に変身した男が出てきます。もっと黒猫人間を増やそうと、少年少女を誘拐します。

 なぜか明智小五郎と小林少年も出てきます。

 5話で完結なので、あっという間に事件が解決しちゃいますが、設定としてはまあまあ出来がよいです。一応1話から5話まで完全揃いです。街頭紙芝居はバラバラにしか出てこないのでわずか5話とはいえ全部揃うのはかなり珍しいです。

 

 お次は新友会「野獣の叫び」です。作は新友会文芸部。画は沙原獣王という取って付けたような筆名です。少年のターザンが主人公です。

 チータは出てきませんが、相棒のゴリラのように強い男は出てきます。

 忘れちゃいけないヒロインもしっかりと出てきます。なぜか少年ターザンは日本人で生き別れのお父さんも出てきます。

 

 3作目は、ひかり社「純情ホテル」です。作画は苅谷敬一。彩色は和子です。全17話で完結しております。ホテルを経営する善良な夫婦に拾われた鶴吉が、ホテルの乗っ取り計画を防ごうと奮戦(でもないか)するお話です。

 途中で亀子というヒロインが登場します。

 鶴吉と亀子の二人は夫婦の跡を継いで更に「鶴亀ホテル」をもり立てます。ネーミングとしては当時としてもどうかと思うくらい古いです。

 今回目録には掲載しなかったのですが、もう一つお笑い物がありました。

 ひかり社お「とんころブウちゃん」です。226話とありますので、随分と続いたシリーズのようです。この「とんころブウちゃんの6〜9枚目の裏面にはクイズが掲載されておりました。

 こんな感じです。左側の回答欄は、別のページで隠します。これを紙芝居のあとで、集まった子どもたちに答えさせ、正解者にはちょっとしたお菓子をサービスするという仕組みでした。

 店主は小学生のある時期(昭和40年代)、公園に来ていた紙芝居を見ておりました。このクイズが結構好きで、上手いこと正解させては、酢昆布やソースせんべいを貰ったりしました。

 クイズは大体4問くらいでした。大体一回の公演(?)で活劇物、お涙物、お笑い物、そしてクイズと演じるのが紙芝居末期の定番のようでした。今ではもう記憶の彼方なので、ハッキリしないところもありますが…

 来週は、また貸本マンガの予定です。

 

 

東京都公安委員会許可第301020205392号 書籍商 代表者:藤下真潮