なんだかいきなり春の陽気の今週でした。セーター着て市場で仕事していると暑いのなんのって(^^;。
今週の新着目録です。貸本マンガオンリーです。若木書房が21冊です。本当はもう7冊ほど若木書房の貸本マンガがあるのだけれど、ちょっと時間に間に合いませんでした。ということで残りはまた来週です。
まずは定番どころから。
左は赤松セツ子「みならい天使 1巻」。初期の少女フレンド連載作品をまとめた物です。全3巻中の1巻のみです。右は大岡まち子「フランチェスカの長い道」。こちらも1967年頃の少女フレンドに連載された物です。3回掲載だったので中編くらいの長さです。
左は同じく大岡まち子「王女さまはゆくえ不明」。こちらは書き下ろしです。右は、やはりフレンド主体で執筆していた石井やよひ「プシィに会ったら」。ちょっとW3みたいなSF作品です。
こちらも同じフレンド系を主体とする講談社で活躍した杉本啓子。左はひまわりブック391「風の少年」。右はひまわりブック303「すみれを胸に」。
こちらは、ひもと太郎、ひまわりブック295「華麗なる姉妹」です。ひまわりブックの後期としては珍しいひもと太郎です。ひまわりブックとしては6年ほどのブランクがあります。なぜ6年もブランクがあったのかは、この本の中書きに書いてあります。「表題作の「華麗なる姉妹」は40ページほどの短い作品です。併載の「木陰にさいた小さな花」は、これより10年ほど前に執筆して未掲載だった作品です。98ページほどなので、B6単行本の時代の作品のようです。並べてみますと絵柄の違いがハッキリと分かります。個人的には10年前の方が上手いような気がするのですが、どうなんでしょうか(^^;。
今週の気になるマンガを今回は、2作品紹介したいと思います。
まずは真白不二「リンゴの頬と緑の目」です。真白不二という取って付けたようなペンネームは、いかにも別名義くさいです。絵柄もポッとでの新人の絵柄ではありません。どこかで見たような絵柄だなあと思ったら…
表紙や扉絵の片隅にサインがありました。「中HIMA.T」と読めます。”中”という文字の中心が”S”の文字になっています。つまり「中SHIMA.T」→「NAKASHIMA.T」です。絵柄から判断してもまず間違いなく中島利行です。1967年頃の刊行ですが、なぜ別名義にしたのかはちょっと不明です。
もう一つは「夢 85集」です。
収録は平岡妙子「きみちゃん」、奥村真理子「ぼたん雪」、生山千鶴「花つぼみ」の3作品。気になったのは最後の生山千鶴「花つぼみ」です。この生山千鶴に関しては、いろいろ調べてもこの1作品しかデータがありません。しかし妙に上手いです。
扉の絵ではちょっと分かりにくいのですが、上野2枚の画像あたりの描写は妙に引っかかる物があります。見た瞬間の感想は、なんだかセブンティーンっぽいでした。この意見は全然確証無しの単なる憶測でしかありませんが、ひょっとして”津雲むつみ”ではないでしょうか。
津雲むつみのデビューは、集英社のサイトによると1967年の週刊少女フレンド(号数不明)の「幸子の星」だそうです。出身は石川県。残念ながら掲載号を一度も扱ったことがないので、津雲むつみの初期絵柄は確認できませんでした。ただ「ゆめ85集」は、1967年3月頃の発売ですので執筆時期としては適合します。
また同時に掲載していた奥村真理子は、石川県の出身でしかもデビューは1966年末頃(一部サイトに、デビューは1965年の別冊マーガレット掲載「おかえりはあちら」とあるが間違いで、デビューは週刊マーガレット臨時増刊号で1966年12月頃発売の号に掲載の奥村まり子名義「お帰りはあちら」)である。年齢的には奥村真理子の方が3歳ほど年上だが、同郷でデビューも近いならば、どこかで接点があったかも知れない。そんなわけで同じ貸本に掲載されたのではないか? もちろんこれも憶測に過ぎません。この件に関しては、今後もいろいろ調べてみます。
これに関してはいろいろとご意見やご批判あるかも知れません。何か情報お持ちの方は是非ご連絡下さい。
来週は引き続き貸本マンガです。