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『ゆりかご 第1集』

松本あきら・高橋真琴・牧美也子・水野英子

日文社 1959年9月頃
売切

 

 

 貸本などを含めたプレミアムマンガの世界では、10万円を超えるようなものはそう多くはない。この点、他の稀覯書やビンテージおもちゃの世界などに比べればずいぶんと慎ましいものである。そんな中で更に少女漫画で限定すれば、10万円を超えるようなものは、おそらく両手があれば足りてしまうはずである。

 この本はそんな数少ない内の1冊である。

 執筆は、松本あきら(松本零士)、高橋真琴、牧美也子、水野英子の4人。出版当時の昭和34年にメンバー全員が雑誌連載を抱えていたという、そうそうたるメンバーである。

 このメンバーはいわゆる音羽組とよばれ、当時講談社の「少女クラブ」や同じ講談社の系列である光文社の「少女」に連載していたメンバーである。彼らは講談社御用達の作家缶詰用旅館であった本郷の太陽館で始終顔を合わせていたようである。この本はそんな環境(ゆりかご)から生まれたのかもしれない。

 内容は

表紙:牧美也子
扉、目次カット:松本あきら
・松本あきら「緑の国のマーヤ」巻頭14ページオールカラー
・高橋真琴「花と少女」詩画集3ページ
・よせがき1ページ
・牧美也子「花と剣」29ページ
・水野英子「二つの太陽」45ページ
・イラストページ:牧美也子
・奥付カット:牧美也子
・裏表紙:松本零士

 寄せ書きページには、上記4名の他に千葉てつやの名前が入っている。当初この本に参加する予定があったようだが、おそらく仕事の都合とか(「ユカをよぶ海」の連載中)で執筆できなかったようである。

 編集人兼発行者として”同人グループ”と記載されている。要するにこの本は商業誌の体裁は採っているが、”太陽館グループ”の同人誌でもあったわけである。

 本の状態は、非貸本である。カバーには少スレと2cm程度のサケが3カ所ほどあるが、欠けは無い。本体はシミ、サケ、欠けが一切無い極美状態。カバーを含めた総合評価としても美本の範疇に入る。

 内容、状態とも文句なしの1冊である。

 


寄せ書きのページ。左上、高橋真琴。右上、牧美也子。左下、ちばてつや。右下、松本あきら。

カバー全体。当時としては珍しいビニールコートが掛かったカバーを使用。ちょっとサケがありますが、この当時のものとしては状態は悪くありません。

 

 

 

東京都公安委員会許可第301020205392号 書籍商 代表者:藤下真潮