川柳も文字だけでは分かりにくいものが多い。
たとえば『麦ばたけ ざわざわざわと 二人にげ』という句も字面だけだとピンと来ないが
絵とともにみれば、ああ成る程と合点がいくものが多い。
また現代の漫画にも通じる豊かな表情が川柳のおもしろみを倍加させている。
『かわきり(最初のお灸)は 女にみせる 顔でなし』
川柳のネタには忠臣蔵ものも多かった。
このあたりは、忠臣蔵をある程度知らなければ分かりにくい句も多いが、
当時の一般人の教養を伺い知ることが出来る。
右ページ、右上段:『由良はめかくし もろ直はかくれんぼ』
(由良は仮名手本忠臣蔵における内蔵助を指す。もろ直は吉良を指す)
右ページ、左上段:『かな手本 いの字は京に わび住まい』
(大石内蔵助が京都山科にこもったことを意味する)
左ページ、右上段:「王羲之も およばぬ義士の かな手本』
(王羲之は中国の書聖と呼ばれた書家)
左ページ、左上段:『孝よりも 忠義は 二十三多し』
(孝は中国の二十四孝{二十四人の親孝行者}を意味する。47−24=23)
また川柳にはバレ句も多く、江戸の庶民の性に対するおおらかさも伺うことが出来る。
右ページ、右上段:『いよ おばあさんと 若後家 いやがらせ』
右ページ、左上段:『若後家へ モウ入れ札が 五六人』
右ページ、右中段:『下女がフミ 読むではなくて 判じ物』
右ページ、中央中段:『下女が腹 心当たりが 五六人』
続いて
右ページ、左中段:『なかで気の よさそうなのに 下女かぶせ』
(結局、気の弱そうなのに押しつけるわけですね)
右ページ、右下段:『若だんな 夜は拝んで 昼叱る』
(拝むのは観音様か?)
右ページ、左下段:『いうことを 夜きく下女は 昼きかず』
左ページは旦那の留守中の密通シリーズ。
中段から連続
『女房も 岩戸をひらく 旅の留守』
『旅の留守 亭主のような ものがいる』
『旅の留守 うちへもゴマの 灰がつき』
(護摩の灰は旅中での盗賊の意味)
きりがないのでここら辺でお開きと・・・m(_ _)m
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