全国推定7.4人(なぜ端数?)の当コラムファンの皆様、お待たせいたしました(待ってないって!)。今回は4コマ漫画ネタです。
店主が年がら年中少女マンガに囲まれて仕事しているからといって、普段少女マンガしか読まないわけでは決して無い(よく誤解されますし、実はコッソリ正直に白状するとあまり最近の少女マンガは読んでません)。仕事以外に新刊本屋で購入している雑誌は、小学館『ビッグコミック』と『ビッグコミックオリジナル』とその増刊。そして双葉社『まんがタウン』と竹書房『まんがライフオリジナル』と他ちょこちょこ。意外とそんなわけでけっこう地味っす(笑)。
4コマ漫画誌に関しては年単位で購入するものが少しずつ変化しているが、ここ5、6年買い続けているのが竹書房「まんがライフオリジナル」。4コマ誌に関しては大のお気に入りの作品が1本載っている雑誌よりは、そこそこお気にいりの作品が4、5本載っている雑誌のほうがお得感が高いと考えている。そんな『まんがライフオリジナル』のどんな作品がお気に入りかといえば…
・むんこ「だから美代子です」
亡くなった旦那のお義母さんとお義父さんと3人暮らしの美代子さんのお話。時々シリアスになりそうな亡き旦那さんの回想シーンも基本ギャグで華麗にスルー。
・宇仁田ゆみ「よっけ家族」
”よっけ”というのは方言で”たくさん”の意味。東京で二人暮らしをしていた夫婦が、転勤で妻方の実家に同居することとなった。なんと一気に4世代10人家族の暮らしは、賑やかでアットホーム。ちなみに4コマではなくショートコミック形式。
・深谷かほる「エデンの東北」
深谷かおるの出身地福島県石川郡石川町を舞台にした70年代田舎暮らしマンガ。半自伝マンガのようで、主人公の弟のあきらは、深谷陽がモデルらしい。子供の頃は深谷かほるにこんなにイジメられていたのかとちょっと余計な心配をしたくなる(笑)。こちらもショートコミック。
・伊藤黒介「ベルとふたりで」
利口だけど基本駄犬のベル(グレートピレニーズ メス 7歳)と音楽には超絶天才的能力を持つがそれ以外基本おバカなすず(ヒト メス
7歳)の二人というか二匹の掛け合い漫才的なマンガ。
2014年12月号からは、4コマ目で必ず魚が消えてしまうという森井ケンシロウのシュール系4コマ「さかな&ねこ」の移籍連載と今日マチ子の新連載「ときめきさがし」(あまりイタイ話じゃないといいなぁ)も始まってお得感は益々アップ。
うああああ、いかんいかん。脱線するにも程がある。今回は「とーこん家族」の話だった。
・よしもとあきこ「とーこん家族」
貧乏だけど貧乏に負けない不屈のとーこん魂を持つ家族のお話。あ、28文字で説明終わっちゃった(笑)。さすがにそれではナンなので、まずは作者の紹介から
よしもとあきこ:本名[芳本亜紀子]、昭和40年7月16日、宮城県仙台市生まれ。21歳の時に「ネコがくる!」(竹書房『まんがくらぶ』)でデビュー。初めての連載は「アリン?こ」(竹書房『まんがくらぶ』)。作者は他に
「イカタコマリンちゃん」とか 動物モノの漫画ばかり描いていて、実は「とーこん家族」が初めての人間が主人公の漫画。
次に登場人物の紹介。
お父さん:名前は竹田竹男。竹を割ったような性格だからというよりは、単に版元が竹書房だからこの名前なんでしょね(ちなみに住んでいる町も竹町)。職業はドカタ…じゃなくて、日雇い人夫…じゃなくて、臨時雇用建設土木作業員。家では普段和服を着ている由緒正しい寡黙な日本のお父さん。
お母さん:名前はあやこ。貧乏に負けずに家庭を切り盛りする、由緒正しい日本の専業主婦。トレードマークはもちろん割烹着。
長女:名前は由紀。初期は熱血していたが最近は普通の女子高校生。
長男:名前は健一。初期は熱血していたが最近は普通の男子中学生。
飼い犬:名前はタイソン。由来はもちろんマイク・タイソン。強そうな名前ということで付けられたが、どちらかといえばヘタレ。
以上4人と一匹の家族が引き起こす、ドタバタ貧乏家族ストーリーである。初期は熱血貧乏ネタが多かったが、最近の作風は単なる貧乏ネタが多い。しかし初期よりも最近の作品のほうが断然面白いという、長期連載作品にありがちなマンネリ感がないのが素晴らしい。しかも絵柄がずいぶんと可愛くもなった。
それではそろそろサブタイトルにあったように謎ネタを…。
・単行本は2冊出ている。
発行は1990年の6月頃。当時はやたらと人気があったのか、なぜか1巻2巻と同時発売だった。しかしすげー残念なことに3巻目以降は未だ発売されておりません。竹書房さん、今からでも遅くないし傑作選でも構わないので単行本出して下さい(願)。ちなみに店主はこの現状全2巻の単行本を所有しているのがちょっと自慢(注:売りもんじゃありません)。
・一体いつから連載されているのか?
先ほど長期連載と書いたけど、連載開始時期とか、総話数ってどうなっているのか。実は結構長いこと悩んでいた。「まんがライフオリジナル」の他の作品には、ほぼ毎回通算話数が記載されているが、肝心の「とーこん家族」には通算回数が記載されていない。
前述したように単行本は1990年に2冊出ているから、少なくてもそれ以前から連載されているのは間違いない。いろいろ長いこと調べてみたたけれど、4コマ雑誌というのは古書市場にもあまり流れてこないので結局それ以上の情報入手が出来なかった。
最近になってようやくヒントらしきものが出てきた。『まんがライフオリジナル』2014年6月の通巻500記念号である。この巻末に「とーこん家族」連載開始の経緯が4コマで紹介されていた。それによれば連載開始は『まんがライフオリジナル』の創刊と同時との事だった。
とすれば連載開始は『まんがライフオリジナル』の創刊である1988年8月号から、通算話数はこの時点で500話ということになる。それで話が済めば簡単だったのだけど、やはりそう簡単でもなかった。
現代マンガ図書館で『まんがライフオリジナル』の創刊号を閲覧してみたら、案の定第1回目ではなかった(ウナダレ)。
このままでは引っ込みもつかないので、『まんがライフ』の方も探してみたところ、1988年4月号~7月号までの4回の掲載が確認できた。しかし単行本と付き合わせてみるとまだ5話ほど足りない(ウナダレ)。更に調べてみると、どうやら『まんがライフ』の増刊として発行されていた『フリテンくん 特集号』などにも掲載されていたようだ。しかし残念ながら当時の『フリテンくん』の現物に当たることができなかったので、結局のところ第1回目の掲載誌は確認することができなかった(ウナダレ)。推定だけどたぶん1987年の末か1988年の頭頃じゃないのかな。
総話数に関しては前述の通関500号に関しては増刊も含めた巻数なので実際は、26年×12回=312回+α位じゃないのかなとしか推測できなかった(ウナダレ)
余談だけど、土田よしこのギャグに[ウナダレ定食]というものがある。鰻のタレだけかかったご飯のことだけど…閑話休題。
それにしても4コマ漫画で26年連載が続くというのはすごい。作者には掲載誌が無くなるまで連載続けてほしいものです。
・初期のタイトルは「闘魂家族」だった。
謎というよりはウンチクネタ。ちなみに単行本記載の英語のタイトルは「FIGHTING FAMILY」。初期はけっこう熱血していたのがタイトルからも想像できる。いつから「とーこん家族」にタイトル変更したのかは不明。ここ最近はネタの方も熱血というよりは野生化に傾斜している。お父さんは犬笛が聞こえるし、健一はタイソンと会話できるし、お母さんは
猫なのにネズミの旦那と呼ばれる猫の義賊(悪い金持ちの家からしか盗まない)から晩のおかずの調達を依頼している、手な具合。
・竹田家はなぜ貧乏なのか
お父さんはドカタ…じゃなくて、日雇い人夫…じゃなくて、臨時雇用建設土木作業員なので、それほど給料がよいわけではないだろう。でもわりかし働き者だし、酒は多少飲むけど打つ買うの方はやらないみたいなんで、そんなに貧乏というのがよくわからない。これに関しては2chの「とーこん家族」スレ(そーゆーもんがあるんですww)でも最大の謎として扱われている。
まあ、ドカタ…じゃなくて日雇い人夫じゃなくて…臨時雇用建設土木作業員の給料で家族4人と1匹を養うのは大変だとは思う。でもだからといって不可能な話でもない。問題は竹田家が住んでいる家が持ち家なのか賃貸なのかである。
これはわりかし簡単にわかった。単行本1巻に大家が家賃を集金しに来る話が載っていた。ちなみにこの時点で家賃を4年3ヶ月滞納していたが、お母さんの泣き落としにより支払いを回避した。
まあ庭付き平屋の一戸建てで間取りはハッキリしないが台所と居間と子供部屋は存在する。築年は不明だが、かなり安普請。しかも都会か田舎かはハッキリしないので家賃の検討はつけにくい。根拠はないけど4~6万円くらいかなぁ。やっぱり賃貸となるとやっぱり生活苦しいかもね。
ただ、竹田の庭には金のなる木が植わっていて(文字通り金がなるわけじゃなくてそういう俗名の樹があるのよ)、お父さんは若い頃にこの樹の下で貧乏の悟りを開いたそうなので、竹田家の貧乏は単なるお父さんの趣味なのかもしれない。
では最後に貴重なお蔵出し (ってどこの蔵だよ) 画像で締めくくろう。
若かりし頃のお父さんとお母さんです。ちなみにこの一升瓶貯金が20年経ってどれだけ貯まったかといえば8円だそうです。やっぱし貧乏だなぁ。
店主は「とーこん家族」と「エデンの東北」が掲載されている限り、今後も『まんがライフオリジナル』買い続けるんだろうな。
それにしても今回のネタって、読んだこと無い人間にはさっぱり面白くないだろうなぁ(何を今更)。
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