前回の「店主の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて電子書籍を愛するようになったか」(TOKUMARU07号:2013年1月27日発行)において、電子書籍用の端末(タブレット)の話をクドクドとした。実はそのことを海より深く反省している(3歩歩けば忘れますが)。そんなわけで今回は、電子書籍用のデータ形式(PDF、EPUB)とか電位書籍用アプリとか主要電子書籍販売サイト(キンドルストア、グーグルブックス、イーブックジャパン)などの話をするつもりだったけど…。止めました(おいおい)。
はっきりいって日進月歩の業界というよりも生き馬の目を抜くような業界です。半年後、1年後というスパンどころか、いま書いているこの文章が活字になって目に触れる頃にはもう変化しかねない状況です。そんな事項をウンウン唸って書いても仕方がないし、読む方にだって意味は無い。それにもまして半分型専門的な電子書籍フォーマットの話なんか読んでも多分面白くもない。
という訳で今回は、どうやって読むかとかではなくて、何を読むか。とりわけ読んで面白い電子書籍はあるのかという辺りを紹介します。もちろん店主の主観がどっぷりと詰まった紹介ではありますが。
今回紹介する電子書籍用のポータルサイト、もしくは個人サイトは、電子書籍専用端末限定のサイトではありません。通常のPCでも閲覧可能です。というよりも通常のPCの方が読みやすいサイトのほうが未だに多いような状況です。サイトを紹介する際には本来URLを記載するのが定番ですが、縦書き文章でURLを記載すると読みにくいですし、なにより転機が面倒です。なので検索が可能な程度のサイト名や作者名などのキーワードを記載します。気に入りそうなサイトがあったらググってください。検索キーワードに関しては【】に記載します。(Web版ではリンク貼りました)
ただし今回の紹介は2013年6月現在のデータなので、サイトの移動、掲載作品の変動などいろいろとあるかと思います。その点はご了承のほど…。
それではまず、電子書籍用ポータルサイトですが、冒頭にも書いたようにキンドルストア、グーグルブックス、イーブックジャパン等の大手ポータルサイトは除きます。なぜ除くかといえば、基本的にこの手の大手サイトは現行書籍化されている作品の電子版が大半(9割以上)です。一部電子書籍のみの作品もありますが、本当に極わずかですしそのような作品を限定して探し出すのが難しい状況です。色々な大手サイトに登録してはいろんな作品を読みましたが、電子書籍専用で気に入った作品は1作品しかありませんでした。
【菅原雅雪「光の王国」】 上下巻 各巻525円(税込)
「牛のおっぱい」、「暁星記」等、寡作だけど傑作しか描かない菅原雅雪の最新SF作品です。菅原雅雪好きな方なら読んで損はないです。
とまあ大手ポータルサイトにはそっけない店主です。それではマイナーポータルサイトのご紹介。
【
漫画onWeb】
お騒がせ漫画家佐藤秀峰氏が運営するサイトです。基本有料ですが、無料の作品も結構あります。商業化作品もあれば同人作品もあり、結構混沌としています。個人的にはみやわき心太郎の作品が読めるのがうれしい。
【ブクログのパブー】
店主は一番利用している。有料も無料もマンガ以外もごちゃごちゃとある。オリジナルの同人誌系が多く、オリジナル同人誌好きならおすすめ。
【Jコミ】(【マンガ図書館Z】にリニューアル)
漫画家赤松健氏が運営するサイト。すべて無料で基本的には絶版になった単行本を作者の了解のもと電子化し公開。ページ途中に織り込まれる広告の収入でサイトと作者への印税が賄われている。好きな漫画家とかの作品があれば超お勧め。
【Pixiv】
基本はイラスト紹介サイトだけれど、マンガも結構掲載されている。どちらかといえばこのサイトで完結しているというよりも公開用として作者のサイトからリンクして利用しているケースが多い。漫画としては玉石混交で落書きレベルも多いです。若干アダルト系多し。
【マンガごっちゃ】
オリジナル漫画専門の公開サイト。ここで公開した漫画を商業単行本化することにより運営している。このサイトから刊行された漫画で今一番メジャーな作品はアニメ化もされた、えのきづ「琴浦さん」。プロもアマもごっちゃに混在しております。「真子さんとハチスカくん。」とか「魔法使いのお時間よ」とかがお気に入り!
まあ、ポータルサイトはまだまだ沢山あるのだけれど取りあえずこんなところで。お次は個人サイトを紹介。店主の趣味丸出しの上に偏ってますのでご留意を…。それから比較的更新頻度の高いサイトに絞って紹介しております。
まずはオリジナル系を紹介。
【Re: 廃葬】
高校生が主役でちょっとイタそうだけどホノボノとしたマンガが主体。店主としては「僕らの家族ごっこ」が超お勧め。青春してていい感じ。
【フィービー 歌う骨】
2013年6月現在において店主一押しのサイト。基本コンテンツは「Lost Child」と呼ばれるシリーズ群。イタそうでエグそうな部分もあるので万人にはおすすめできないけれど、でもぜひみんな読もう(笑)。「Lost
Child」シリーズの中では「緋い花のアガペー」が完結していることとまとまりの良さからお勧め。シリーズ以外では「いとしのデルタ」がお勧め。ゲイの作家とロリコンの担当編集者とおっさん好きの小学生女児の救いのなさそうな困った三角関係ラブコメです。でもほんとお勧めなんですから。
【いさかわめぐみ あさがお文庫】
比較的長めのファンタジー系作品が多いです。「Zinon」と「留学生テレサ」辺りがお勧め。実のところこのサイトには掲載されていない作品なんですが、この方の描いた「Closede Garden」は傑作じゃないかと密かに思っています。
【新谷
明弘 日記野郎】
コンテンツが豊富なブログなので、マンガを読むにはカテゴリータグの”サイエンス”を選ぶのが吉。基本理系のSFな人でマンガのネタも世間の理系ニュースを絡めたガチの理系ネタ。なので理系じゃない人には向かないかもしれない。店主は基本理系なのでいつも楽しんで読んでいます。
【ONE ワンパンマン】
もうそろそろ解説不要なくらいの有名漫画になってしまった感がある。全然強そうに見えないヒーローが実は超無敵というギャグ系ヒーロー漫画。2013年6月現在90話まで執筆されている。ページ数に関しては面倒なので数えていない(笑)。
【ぱげらった 厨二病棟】
比較的読みでがあってまとまりが良い作品が多い。絵柄はポップ。ダークなシリアスもあるけどギャグが多め。商業単行本も出て現在作者は絶好調かな。
【星吉マックス Astral
chilD Max】
メインコンテンツ「Heaven to Hell」は、天使(女の子)と悪魔(男の子)が敵対し分かれているが、その互いに敵対するつがい同士でしか子どもを作れないよう神に定められた世界を描いている。第1部31話予定で2013年6月現在10話まで公開されている。10話時点で1000ページを超える超大作。基本的に無料だけど加筆修正版は有料公開。絵柄とかちょっとイタメのストーリーは好みが分かれるけれど、読み応えはあります。
【瀬野反人 塩と気圧】
良くわからない世界で良くわからないストーリーが進行するちょっとダークでなんかいやな(作者談)長編「霧中進行」と角川月刊少年エースで残念ながら打ち切りになった4コマ漫画「残念博士」の続きがメインコンテンツ。「残念博士」の残念具合がとても残念で素晴らしい。
【太郎 閉鎖病棟はじめました】
サイト名と作品名が同一。ダークでファンタジックな閉鎖病棟で繰り広げられる物語。2013年6月現在、なぜか超絶「卓球まんが」に脱線中。
【チキンの魂 虫篭のカガステル】
全16話、1000ページを超える大長編マンガ。人類が巨大な虫に変化する奇病が流行っている世界を描く近未来SF作品。作者はプロで同人歴も長い。2013年6月現在Web版は完結。加筆修正版は同人誌即売会などで販売される予定。
お次は日常絵日記系。
【アンギャマン スカラムーシュ】
リアル遠足と銘打って、各地を行脚する作者のリアル記録漫画。2013年6月現在は「四国ガチ遍路」編を掲載中。
【井上純一 中国嫁日記】
説明する余地がないほど有名な中国嫁のサイト(手抜き解説)。
【ゴハチ ゴハチラボ】
ちょこちょこっとした短めのマンガが主体。メインコンテンツは「週刊ボケログ」という絵日記4コマ漫画。自分の日常(主に食べ物関係)を描いた4コマで、たいしたネタではないのにすごく上手い。それもそのはずゴハチさんは、90年代にマーガレットで活躍していたプロの人。そして現在も某所で活躍中。でもそこら辺の経歴は明かしたくないようなので、ここでは秘密です。
【藤島じゅん 今日のふじしま】
プロ漫画家藤島じゅんの子育て絵日記ブログ。基本子育て4コマで、本人の商業子育て4コマ「マママのお仕事」とか旦那である重野なおきの商業子育て4コマ「よんこまのこ」と比較して読んでも面白いです。
【Dr.モローのスクランブル日記】
コミケに行く人なら誰でも知っているDr.モローの日常絵日記漫画。2013年6月現在実家の稼業の倒産話が進行中。
最後に少しだけ二次創作系を紹介。
【さしみ屋 のび太の人類補完計画】
ドラえもんとエヴァンゲリオンの複合二次創作。絵柄はドラえもん風の緩い絵柄ですが、これが結構なかなかどうして不思議と感動する漫画に仕上がっています。
【リョーサン ルイージ&マリナRPG】
マリオブラザーズの二次創作。マリオが死んで5年後の世界。2013年6月現在で34話。こちらも結構な大作。
まあ挙げればまだまだ紹介したいサイトはあるのですが、文字数もそろそろ限界なのでここら辺で締めます。
あとは出版社系サイトというのも結構豊富なコンテンツを抱えているのですが、これの紹介もちょっと今回は文字数足りないのでほんのすこしだけ。個人的に良く行くサイトに絞って紹介。
【双葉社 飯田橋のふたばちゃん】出版社擬人化ネタ。出版業界を知っていればいるほど笑える。
【ビックコミック 銀のしっぽ】森真理「銀のしっぽ」掲載。本誌では休載中ですが、Web版は更新中。
【モーニング2】先月号が丸ごと無料で読めます。(閉鎖しました)
【コミック ダンガン】4コマ系のコンテンツが読み応えがあります。
電子書籍自体は期待するほど機運がまだ盛り上がっていませんが、コンテンツに関しては随分と豊富になってきました。正直な話、わざわざ有料コンテンツを買わなくても無料コンテンツだけでおなか一杯になるほどネット上にコンテンツはゴロゴロと転がっています。でもまあ対価を必要としているコンテンツには、なるたけお金を払うようにしたいものです。それが恐らくこの業界を健全に成長させることとなるのだと思います。でも対価が必要なコンテンツに限って、値段的にちょっとどうかなと悩むものが多いのが現状ではありますが。
ああ、しまった。今回話を脱線させるのを忘れた(せんでええって 笑)。でもまあこのネタに関しては機会があれば、また続き書きたいと思ってます。
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